俺がこんなに好きなのは、お前だけ。


「あれ、なんか……取り込み中だった……?」



気まずそうに頬を人差し指でポリポリと掻きながら教室内に一歩踏み出してきたのは、佐藤くんだった。

その台詞を聞いてすぐ、いまの自分たちの体勢を見て慌てて距離をとる。

すごく近くて、はたから見たらすごく変……というか、うん、ダメなやつだ。勘違いされちゃうやつだ。

顔に熱が集中していく。赤くなっていないといいけど、期待できない。



「ううん、全然……!あっ、大志くんも勉強会に参加することになったから……!」

「あ、ちょ、お前、まだ俺いいって言ってねえだろ……」

「しっ!」



佐藤くんに背中を向けて、大志くんにだけ見えるように肘で脇腹をつつき、睨みをきかせた。

「ウッ」と、短い声をこぼした大志くんに今度は背中を向けて、笑顔で佐藤くんのほうに振り返った。


そしてかばんを肩にかけて佐藤くんのほうに歩み寄る。そのときに気づく。佐藤くん以外の人たちがいないことに。



「あれ?ほかの人は……?」

「あー、都合悪くなっちまったみたいで……」

「そう、なんだ……?」



じゃあもしかして、大志くん誘ってなかったら佐藤くんとふたりきりで勉強会してたかもしれないってこと?



「ごめんな。じゃあ行くか。図書室でいい?」

「うん、私はどこでも。ほら、大志くんも行くよ」

「……ったく」



諦めたように深く息を吐き出したあと、どこかのスイッチを押したようにいつもの営業スマイルになり、「はじめまして」と佐藤くんに微笑んだ。


それに佐藤くんもにっこりと笑って「よろしく」と互いに挨拶を交わしあった。



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