俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
優しい言葉に、優しい表情。これが人気者の王子様対応だ。
でも私はそんなの、欲しくない。
特別に感じるのは、みんなと同じようなそれじゃない。
って、もう。わがまますぎない?私。
首を横に振って「大丈夫」と笑った。大志くんに便乗して、クラスメイトからも心配の言葉をかけられたけれど、すべてに同じ返事をした。
結衣羽が来たのが見えて輪から外れる。
「あんたが佐野大志の輪の中にいるの珍しいね」
「違うよ。大志くんがあとから来たの」
「ふぅーん」
興味あるのかないのかわからないその反応。唇を尖らせてしばらく考える。どういう言葉で親友に初恋のことを話すかを。
どうやって報告したらいいのかもわからないなんて、やっぱり私って遅れてるんだなぁ、色々と。
話したくて、でも恥ずかしくて身体をもじもじしたあと、意を決して「結衣羽、聞いて」と話を切り出す。
「私、好きな人、できた」
「え?ああ、佐野大志でしょ?」
「……!?」
なぜにバレておる!?
驚きすぎて、声にならない。震えてきた。
なんでもないように言ってのけた親友がニヤリと笑う。
「あんたが佐野大志のこと好きになってることぐらい、気づくよ」
「どうして?私だって昨日気づいたのに……」
「気づかないフリしてただけでしょ」
「……っ……」
グサリと刺さった結衣羽の指摘に言葉を詰まらせた。