恋ってやつを教えてやるよ。

「つかお前、頭大丈夫か?」


「あん?誰がバカだって?」


「ちげーよ。お前、頭にもろボール受けてぶっ倒れたんだろうが」



心配そうな顔で、私の側頭部に触れるジロ。



「痛いか?」



なんだかジロが、いつもより優しい気がしてくすぐったい。



「頭は、平気。ただ……」


「ただ?」



気のせいだと思いたかったけど、何だかそうもいかなそう。



「倒れた時、手おかしくしたみたい」



さっきから左手の中指の関節が熱を持ったようにズキズキと痛む。


よく見ると痛みを感じる場所が赤く腫れているようにも見える。


倒れた時、変なふうに手をついたか。はたまた、ボールから身を守ろうとして突き指したか。


とにかく、ボールがあたった頭なんかより、よっぽど痛い。



「マジか。ちょっと見せてみろ」



そう言うとジロは、スッとこちらに手を差し出してくる。



“手をよこせ”って言いたいのはわかるんだけど……。



倒れる前の光景が、頭の中でチラつく。


女子力が高く、しっかりと手入れされた茅野さんの手。


それに比べ私の手は、ガサガサのささくれだらけ。
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