恋ってやつを教えてやるよ。

今更ジロに対して、こんなこと気にしたって仕方ないのに、なぜ手を差し出すのを躊躇してしまうのか……。



「おい?見せてみろって」


「い、いい!大丈夫だし!」


「いいから見せろ。普通に心配だろが」



そうだった!


ジロって、気になり出したらめちゃくちゃしつこいやつだった!



胸の前で手を握り、見せるのを拒否している私の手を、ジロは強引に掴む。


それから自分の方に引き寄せ「あー、こりゃ痛てぇな」と眉根を寄せた。



「折れてなきゃいいけど」



そう言いながら、恐る恐る私の指を触って確かめる。



「……っ!」


「わり。痛たかった?折れてはなさそうだけど」



痛いよバカ。


手もそうだけど、それよりも胸が痛い。


もっとちゃんと手入れしとけばよかった。


マニュキュアくらいつけとくんだった。


茅野さんみたいに女子力が高かったら。


私が茅野さんみたいだったら。




ジロは茅野さんじゃなく、私を好きになってくれたのかな?




「………え?」


「ん?どうした?」



ちょっと待ってよ。



私今…………何を考えた?



今のじゃまるで、


私がジロに好きになってもらいたいみたいじゃない……。



「美恋……?」
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