恋ってやつを教えてやるよ。
「げ!そうなの?」
亜川先生といえば、体育の教科担当の男性教諭。
実は、女子生徒の間ではちょっと有名な先生で、”変な目で女子を見てる”とか、怪しい噂が流れてたりする。
思春期の女子特有の根も葉もない噂だけど、こんな噂が流れちゃうのは、あのインパクトのある見た目も原因じゃないかと思うんだ。
太ってるし、なぜかいつも脂ぎってるし、さすがの私も抱き上げられるのはちょっと……いやかなり抵抗がある。
「そこにすかさず飛んできたのが元木でさ」
「え?ジロ?」
「そうなの。”美恋に触んなっっ!!”ってめちゃくちゃ怒って、美恋をお姫様抱っこして連れてっちゃった」
「おひ……えぇぇっ!?!?」
何それ!
ジロってば何やってんの!?
そりゃ、そんなことすれば亜川先生に呼び出されるよ……。
てか、みんなが見てる前でお姫様抱っことか。
茅野さんに変な勘違いされたらどうするつもりなんだろう。
せっかく両想いなのにさ……。
……そう、思うのに……。
「美恋、顔真っ赤だよ?」
クスッと笑う幸を前に、私は恐る恐る自分の頬に両手を当てる。