恋ってやつを教えてやるよ。

「高峰くん!今日の英単語のテス……えっくち!!」



しまった!!!


変なくしゃみが!!!



「ぷ。あはは!何今の!くしゃみ?めちゃくちゃ可愛いね」



顔をクシャッとして盛大に笑っている高峰くん。


高峰くんのこんな顔、初めて見る。


とんでもなく恥ずかしいんですが……。



「あ、あはは。自転車乗ってて冷えたかなぁ」



カーッと熱くなる顔を誤魔化すように、手であおぎながらそう言うと。



「それは良くないね」



という言葉とともに、シトラスのような爽やかな香りがフワリと鼻を掠めた。



「温まるまで、これ着てて」



気づけば、私はついさっきまで高峰くんが着ていたブレザーに包まれていた。


ブレザーの襟元をキュッと私の胸の前で合わせて、優しく微笑む高峰くん。


あまりに綺麗な顔で微笑むもんだから、思わず心臓がドキッと跳ね上がる。



「あ……りがとう」


「うん」



こりゃ、世の女子がほっとかないわけだよ……。


なんていうか、高峰くんて完璧なんだよね。


優しくて、気が利いて、余裕があって。


まるで、童話に出てくる王子様みたい。
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