恋ってやつを教えてやるよ。

そんなことを考えながら、教室へと続く廊下を歩いていたら、「あの……」と誰かに呼び止められた。



ん?私?



声をかけて来た相手は、確か隣のクラスの何とか君。


話したこともないから名前すら知らない。



「えっと……はい?」


「あ。僕、田原って言います」



同じ学年なのになぜ敬語?



田原くんは、なぜかモジモジしながら顔を真っ赤に染めている。



「何か……?」


「あの……い、飯島さんは、高峰くんと付き合ってるんですか!?」


「えぇ!?」



何この人、突然何言ってんの!?



「つ、付き合ってません!!」


「でも……」



私の着ている高峰くんのブレザーをチラッと見る田原くん。



え!?


これって、そんな風に見えちゃうの!?



「これは、少しの間貸してあげてるだけだよ。ブレザーを貸してあげたからって付き合ってるとは限らないよね」



ニッコリ微笑んで、冷静にそう返す高峰くん。


高峰くんさすが!!ナイスフォロー!!



「じゃあ、飯島さんは元木くんと付き合ってるんでしょうか!?」



はぁぁぁぁぁ!?!?



「んなわけあるかっ!!」



しまった。


盛大につっこんでしまった……。
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