アスカラール
それまでテーブルのうえに置いていたスマートフォンが震えた。

「ああ、俺だ」

成孔は震えているスマートフォンに手を伸ばすと、指で画面をタップした。

「もしもし…ああ、何だ」

成孔は誰かと話を始めた。

「来週に帰ってくる?

…わかった、迎えに行くから空港で待ってて。

じゃあ、もう切るからな」

話が終わったと言うようにスマートフォンを耳から離した。

「誰からですか?」

美都は聞いた。

「妹から」

成孔は質問に答えると、スマートフォンをテーブルのうえに置いた。

「妹さんがいるんですか?」

「うん、3歳下で世界中を飛び回ってる仕事をしているんだ」

「…何だかすごい仕事ですね」

仕事の内容にも驚いたのだが、成孔に兄弟姉妹がいたことにも驚いた。
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