Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~

迎えた週末。

今日は九時半に迎えに来ると、昨日の就業時間終わりに専務室にて伝えられた。
どうやら、私と話す場所には配慮しなさいと沙苗や三笠さんが言ってくれたらしい。

学習した専務は今回は人目にはつかない専務室で伝えてきたという訳だ。

前回もそうしてくれれば、女子の視線がキツくなる事も無かったのに…。

しかし、ココ最近までに私とアレコレあった人々は人事査定に基づき部署異動をしていることから今回は、多少の視線くらいで済んでいる。


これも、専務の仕事が早かったからなのだけど。
原因も専務だけになんとの言えない気持ちだ。


今日はシフォンのふんわりとした膝丈ワンピースに透かし編みのニットボレロ。
小ぶりのバックを片手に約束の五分前には家を出た。

するとマンションの入口には見覚えのあるSUV車が停まっている。


私は慌てて駆け出した。


「すみません、専務!お待たせしてしまいましたか?!」

そう聞くと

「今日はプライベートだから専務呼び禁止!そんなに待ってないから慌てなくて良かったのに」

今日もコテで緩く巻いた髪は下ろしていたので、少しフワッと広がってしまったみたい。

その髪を撫でて、整えてくれる。

だから、近いって!!

「っっっっぅ。啓輔さん、近い!」


「ふふ、菜々子はほんとに可愛いな。今日は俺に時間をくれてありがとう。朝ご飯まだだろ?今日はまずはブランチに美味しいカフェに行こう」


そうしてエスコートされて助手席に座り、シートベルトをつけ終わる頃には専務も乗り込み、準備を済ませると車は滑らかに発進した。
< 54 / 64 >

この作品をシェア

pagetop