Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~
「さて、今日はまた出掛けるよ。そろそろ行こうか」
そう行ってまたまた、車に乗り移動した。
着いた先は超都会の真ん中にある有名なビル。
どちらかと言うとセレブ感漂う、その界隈には私はそうそう来ない。
車をコインパーキングに停めたあと、啓輔さんは自然と私の手を取り歩きだしビルへとやってきた。
どうやら、ここの有名な美術館へと来たようだ。
今はデジタルアート展と案内にポスターが貼ってある。
エレベーターに乗り込み、着いた先はプロジェクションマッピングの応用のような形で動くアートが、展開された幻想的空間が広がっていた。
思わずほぅっとため息をつく。
色と光のアートだ。
「すごい、綺麗…」
「ホントだね」
私たちはゆっくりとこの幻想的な空間を歩いて行く。
蝶や花、草木に水、それらが動き流れて行く。
どれも色の使い方も綺麗だ。
「この展示、ウチも機器の準備で関わっててね。チケットを貰ったんだ。菜々子と見たいと思ったから。来て正解だったな」
カラフルな色の光に映し出される啓輔さんは、やっぱり綺麗で。
その空間にいる、その光景に私は目を惹かれた。
「ねぇ、菜々子。俺、色々至らないけど菜々子が大切で愛おしい。日々膨らんでく気持ちは抑えが効かない…。付き合ってくれないか?俺の彼女になってよ?」
素直な啓輔さんは、今は私の言葉を待つためか顔が少し固くなっている。
どんな顔でもカッコイイってずるいな。