身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 兄さんが言った「足踏み」という台詞が、ナイフみたいに突き刺さった。

 医師への階段を順調に昇る兄たち。悟兄さんに至っては、自らの意思でその階段をより高く設定する。

 対する私は、階段を昇る切符すら得られずに足踏みしている。

 仮に医学部への入学を果たしても、私の不安は消える事などないだろう。

 兄たちは進級試験や医師国家試験への不安などまるで持たない。医学部は必修科目を一つだって落とせない。常に留年と隣り合わせだ。
 けれど、兄たちが試験に焦る光景など一度として見た事がない。

 兄たちもまた、両親と同様私には高すぎる壁のようだ。とても対等に、兄妹として並び立つ自信はなかった。

「怜那? どうした?」

 ずっと俯いたままの私に、向かいの学兄さんが声を掛けた。


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