身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 俯かせていた顔を上げた。

「ブロードさん、行ってみたいです!」
「そうか! では、次の俺の休みに一緒に行ってみるか」

 ブロードさんは破顔して、卓の向かいから私の手を力強く握った。

「はいっ」

 迷いは全て、ブロードさんの笑顔で吹き飛んだ。

 私は自室に戻るとすぐに、支度をはじめた。

 年齢別に、教材になるようなものを揃えていこう。

 私が行けない日も自己学習が進められるように、簡単な宿題も用意して……。

 新しい何かに踏み出すのに、こんなにも気負いなく自然体でいる事ははじめてだった。


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