身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「……強引さはあったけど、総合的に見れば父の治世が優れたものであったのは事実。この国を立て直したのは他ならない父で、私はずっと父の背中が目標だった。……けれど父は、ここにきて星の女神への妄執で、道を踏み外してしまった」
前を見据える王太子殿下の目に、光るものが見えた。
「王太子殿下……」
しっかりとした語り口とは裏腹に、見下ろす成長途中の細い背中と透き通る瞳は年相応で、俺は胸が締め付けられるようだった。
アボットよりも若い十四の若い身空で、達観しきった王太子殿下は凛と美しくもどこか切なくて、気付いた時にはその肩を抱き締めていた。
王太子殿下は静かに俯いて、グッと拳を握り込んだ。
そうして再び王太子が顔を上げた時、その目にもう、涙はなかった。