身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 魔女の秘薬とも謳われるジギタリスは、物語などでよく取り上げられる。そんな、雑学的な知識によるもので、本来ならおいそれと助言など出来るレベルではなかった。

「……容量を間違えば生き死にに関わる事もあると思います」

 そんな不確かな知識を安易に伝える事は怖かった。私の言葉が人の生死に関わる可能性、その重さに押しつぶされそうだった。

「そうか、葉がいいんじゃな。主脈や葉柄はどうするんじゃ?」
「……取り除きます」
「そうか!」

 けれど、クレイグス医師は私とは対照的に、貪欲に知識を求めた。私の拙すぎる知識にクレイグス医師は瞳を輝かせた……。

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