もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
病室を走って飛び出し、静かな待合室で膝を付いて座り込む…
冷たい床が足に伝わる…
拓叶に払われた手…
誰にも触られたくなかった拓叶の記憶…
その記憶がまた開かれた。
踏み込みすぎたんだ…
その罰が回ってきたんだ…
「ごめん…なさい…」
手を振り払われた瞬間、思い出したくもない記憶が頭を過ぎった。
お母さんと手を繋ごうとすると何度も、振り払われた手を…
周りの子はみんなお父さんとお母さんと手を繋で歩くのに、どうしていつも手を繋がないんだろう…って。
その理由は、きっと自分はいけない子だからと思っていた幼い自分。
ずっと自分の手が嫌いだった。
いつもいつも叩かれる手が。
『藍!!』
自分の声を呼ぶ声が響いた…
その声に肩をビクッと動かすと、その肩に上着がかけられた…