雪の果てに、催花雨は告ぐ。

いつぶりか分からない、“また、明日”の言葉。
そのうえ、不意打ちにも等しい微笑みまで贈られ。

(わ、笑う人だったんだ…それに、また、明日って…)

煩いくらいに心臓が高鳴る。
胸元を弄れば、早鐘を打っていることが手のひらでも分かる。
逃げるように校舎を出た私は、校門の前で深呼吸を繰り返した。

綺麗って、ずるい。
優しい顔をされると、否応なしに鼓動が速くなる。

私は目に焼き付いて離れない彼の笑みを思い出しながら、桜並木道を歩きだした。

そういえば、結局名前を訊けなかった。
明日、聞けたらいいな。そんな小さな願いを胸に、通い慣れた道を歩いていく。
明日はどんな一日になるのだろう。
今まで思いもしなかったことを、想いながら。
< 9 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop