独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「——ほう、これは」
フィリーネが、鞄の蓋を開けたとたんクラインは目の色を変えた。
「ど、どうかしら……?」
もちろん、品質には絶対の自信がある。けれど、こんな風に人の目の前で出して見せるのは初めてだったから緊張が押し寄せてくる。
「……素晴らしい品でございます、お嬢様。失礼ながら、お嬢様が今、お召しになっているドレスの襟も同じものでございますかな?」
「そう! これは、『三乙女のレース』といって——」
あっけにとられているアーベルをよそに、フィリーネはレースの説明を始めた。
ユリスタロ王国の女神と三人の乙女達。彼女達が身に着けたレースを、伝統を受け継いだ乙女達が丹念に作っているのだというフィリーネの説明を、店主のクラインは真面目な顔をして聞いていた。
「品はとてもいいのだけど……今のところ、販路がなくて——私に協力してくれたら、このレースをドレス三着分差し上げるし、そうね、お話によっては、今後三年間、独占取引してもいいわ。どうかしら、私の話を聞いてみない?」
「——三着分? 独占取引?」
フィリーネが、鞄の蓋を開けたとたんクラインは目の色を変えた。
「ど、どうかしら……?」
もちろん、品質には絶対の自信がある。けれど、こんな風に人の目の前で出して見せるのは初めてだったから緊張が押し寄せてくる。
「……素晴らしい品でございます、お嬢様。失礼ながら、お嬢様が今、お召しになっているドレスの襟も同じものでございますかな?」
「そう! これは、『三乙女のレース』といって——」
あっけにとられているアーベルをよそに、フィリーネはレースの説明を始めた。
ユリスタロ王国の女神と三人の乙女達。彼女達が身に着けたレースを、伝統を受け継いだ乙女達が丹念に作っているのだというフィリーネの説明を、店主のクラインは真面目な顔をして聞いていた。
「品はとてもいいのだけど……今のところ、販路がなくて——私に協力してくれたら、このレースをドレス三着分差し上げるし、そうね、お話によっては、今後三年間、独占取引してもいいわ。どうかしら、私の話を聞いてみない?」
「——三着分? 独占取引?」