独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「——どうかしら。お願いできないかしら——このドレスを仕立ててくれたのが、あなたの店だってこともちゃんと宣伝するし、悪い話ではないと思うわ」
二人の間でさくさく話が進んでしまい、この店に連れてきてくれたアーベルは、完全に話の輪から外れている。
「それは魅力的なお話ですな。この品をわが店だけに扱わせていただけるのであれば——喜んでお引き受けしましょう。ですが、独占契約については、期間の延長をお願いしたいですな。三年ではなく、五年」
「あら、それはもう少し時間をおいてからお話しましょうよ。その方が、お互い有益な話ができると思うの」
「……お嬢様は手ごわい。つまり、王太子妃の座を射止める自信がおありで?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
それを期待されるとだいぶ弱いのだが、クラインがにやりとしたところを見るとアーベルの心を射止める自信があると思われてしまったようだ。ともあれ、クラインとの交渉はなんとか無事に終わらせることができた。
二人の間の取り決めはこうだ。クラインは、フィリーネのドレスを三着仕立ててくれる。その代金にはレース三着分をあてることにする。さらにユリスタロ王国は、今後三年間クラインにだけレースを販売する。
二人の間でさくさく話が進んでしまい、この店に連れてきてくれたアーベルは、完全に話の輪から外れている。
「それは魅力的なお話ですな。この品をわが店だけに扱わせていただけるのであれば——喜んでお引き受けしましょう。ですが、独占契約については、期間の延長をお願いしたいですな。三年ではなく、五年」
「あら、それはもう少し時間をおいてからお話しましょうよ。その方が、お互い有益な話ができると思うの」
「……お嬢様は手ごわい。つまり、王太子妃の座を射止める自信がおありで?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
それを期待されるとだいぶ弱いのだが、クラインがにやりとしたところを見るとアーベルの心を射止める自信があると思われてしまったようだ。ともあれ、クラインとの交渉はなんとか無事に終わらせることができた。
二人の間の取り決めはこうだ。クラインは、フィリーネのドレスを三着仕立ててくれる。その代金にはレース三着分をあてることにする。さらにユリスタロ王国は、今後三年間クラインにだけレースを販売する。