独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
三年間の独占契約については、アーベルのお妃候補者が決まった時点で延長を検討する——それは、他にも、欲しがる仕立屋が出てくる可能性を考慮してのものだ。
「ドレス三着分の布地もこちらがご用意するとなると、少々足が出そうな気もいたしますが——喜んでお引き受けいたしましょう。先行投資でございます」
それからドレスのデザインを決め、店を出たところで、フィリーネはアーベルに飛びついた。
「アーベル様! ありがとう!」
「わ、なんだよ、お前——!」
「このお店に連れ来てくださってありがとう! 私、いい交渉ができたと思うの! さっそくお父様に手紙を書かなくちゃ!」
浮かれたフィリーネはアーベルがちょっととまどった様子でいることに、まったく気が付かなかった。少なくとも、三年間は買い取ってくれる相手を確保することができた。
三年の間に、もっと評判を得ることができれば、適当な買い手も見つかることだろう。
「まあ、いい。しかし、ずいぶん上手に交渉したんだな」
「たいしたこと、したわけじゃないです。ただ、必死だっただけで。皆の期待……を背負ってきているから」
アーベルに誉められるとは思っていなかったから、耳が熱くなった。
「ドレス三着分の布地もこちらがご用意するとなると、少々足が出そうな気もいたしますが——喜んでお引き受けいたしましょう。先行投資でございます」
それからドレスのデザインを決め、店を出たところで、フィリーネはアーベルに飛びついた。
「アーベル様! ありがとう!」
「わ、なんだよ、お前——!」
「このお店に連れ来てくださってありがとう! 私、いい交渉ができたと思うの! さっそくお父様に手紙を書かなくちゃ!」
浮かれたフィリーネはアーベルがちょっととまどった様子でいることに、まったく気が付かなかった。少なくとも、三年間は買い取ってくれる相手を確保することができた。
三年の間に、もっと評判を得ることができれば、適当な買い手も見つかることだろう。
「まあ、いい。しかし、ずいぶん上手に交渉したんだな」
「たいしたこと、したわけじゃないです。ただ、必死だっただけで。皆の期待……を背負ってきているから」
アーベルに誉められるとは思っていなかったから、耳が熱くなった。