独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「ついでだから、少し街を見ていくか?」
「いいんですか? 嬉しい!」

 パウルスとヘンリッカは、何度か城下町に遊びに出たけれど、今までフィリーネにはそんな機会はなかったのだ。

「まず、何が見たい?」
「ええと、生鮮食品を売ってる市場でしょ、それからお菓子を売ってる店でしょ、雑貨屋も見たいし……」

「お前、本当に欲がないんだな」
「欲って?」

「こういう時、たいてい女は宝石屋のところに行きたがる」
「馬鹿みたい。買い物しないのに、宝石屋に行ってもしかたないでしょう」

 フィリーネにとって、大切なのは国に帰ってから役に立つ情報だ。宝石を買っても、使い道なんてない。

「もっと、この国のことを知りたいです。いつか——私が、女王になった後、もっと仲良くなれるように」
「俺の方は、ユリスタロ王国と特に親交を深める必要もないんだけどな」
「もー、そういうことを言ってはだめですよ! お互い……国のことを考えないといけないのに」
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