独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「そんな風習まであったのか。知らないことも多いんだな」

 アーベルは素直に感心したようだ。

「……そうですよ。だから、工房もお城にあるんです」

 冬の間は外に出られないから。子供達とフィリーネが一緒になって遊んでいるのも、こうやって冬の間一緒に暮らしているからという理由もある。
 そんな話をしていたら、アーベルがぐっと距離を詰めてきた。

「アーベル様、あのですね……ものすごく、近いと思うんですが」
「当たり前だ。わざとやってるんだからな」
「……はい?」

 なんでわざわざ必要以上に近づいてくるのだろう。フィリーネが上半身をそらして距離を開けようとしたら、彼はさらにテーブルの上に身を乗り出してきた。

「何人かこっちを見てる。協力しろ」
「……うー、そ、そういうことなら……」

 なにしろ、アーベルにはクラインを紹介してもらった恩義がある。
 彼が目線で示す方へちらりと目をやったら、何人かの令嬢が、こちらにちらちらと目を向けているのがわかった。
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