独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
(……たぶん、この三着合わせたら……私の十年分のドレス代が飛んでいくと思うのよね……!)

 クラインは、いったい何を考えているのだろう。こんなドレスを送り付けてきたとしても、フィリーネには代金は支払えない。贈り物という言葉に、何やらうさんくさいものを感じてしまう。

「フィリーネ、こっちの箱は散歩用ドレスと同じ布で作った帽子だ。それから、こっちは、舞踏会用の髪飾りだな」

 どうやら、アーベルは待ちきれなくなってしまったようで、勝手に残る箱を開けていた。フィリーネは口をぽかんと開けてしまった。
 帽子に髪飾りまで。

 本当に、クラインは何の目的でこんなものを送りつけてきたというのだろう。

「……あ、手紙が」

 箱にばかり気を取られていて気づいていなかったのだが、テーブルの上にはクラインからの手紙も置かれていた。
 フィリーネは封を切って、手紙を読み始める。

「……嘘でしょ」

 思わず、そんな言葉が漏れた。
 クラインからの申し出というのは、あまりにも思いがけないものだったのだ。
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