独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「ねえ、フィリーネ様。クラインさんのところで三乙女のレースを売るだけじゃなくて、小物を扱ってくれるお店とかないですか。ハンカチとかポーチとか……ほら——フィリーネ様のそのショールだって、欲しい人はいると思うんですよ」

「このショールはだめよ。一年かかったんだから……でも、そうね。ハンカチとか、ポーチとかそういった雑貨を買い取ってくれるお店を探してもいいかもね。ユリスタロ湖のところの商店で買い取ってもらうだけじゃ商品の方があまってしまうものね」

 うーんとフィリーネは考え込んだ。皆の作業速度が上がったためか、最近、レースのハンカチは余り気味なのだそうだ。

 ハンカチやポーチだけではなく、レースのつけ襟とか髪飾りとか。そのあたりの小物を、この国の雑貨屋で売ってもらうというのもありかもしれない。小物だけを輸送するのでは赤字になってしまうけれど、クラインの店にレースをおさめに来たついでに一緒に運んでもらえば問題ないと思う。

「在庫を送ってくださいとお願いするついでに、お父様に相談してみようかしら」
「……それじゃあ、私、レターセットとペンを取ってきます。お父上にはすぐに手紙を書くでしょ?」
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