独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「誰か来たら困るんで、僕は見張りを。アーベル殿下もその方がいいでしょう?」

 と、口にするパウルスは言葉の端にとげとげしいものがある。やはり、アーベルのことを信頼していないようだ。
 アーベルはヘンリッカの前に、フィリーネのショールを広げた。

「これ、昨日破かれたショールですね。どうしてこれをあなたが持ってるんですか」

「昨日、フィリーネの部屋から持ってきた。修理できないかと思ったんだが、修理を頼めそうな者がいない。ヘンリッカならできるのではないかと」

「そりゃ、直せって言われたら……努力はしますけど……まったく同じようには戻せないと思います。この、植物を織り込んであるところですけど——ここはもう修復不可です。大きく破れすぎてて。ここは、新しく何か考えないと。レースを繋ぎ合わせているところは、時間をかけたらなんとかなると思うんですけど」

 裂けてしまったのは、大部分が、三種類のレースを剥ぎ合わせているところだったのだが、それ以外にも被害は及んでいた。

「そうか。やはり俺が下手に手を出さなくてよかったな」
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