独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「素人が手を出しちゃだめです。まあ——アーベル殿下が直してくださったのなら、それはそれでフィリーネ様は喜びそうですけどね」

 ヘンリッカの言葉の意味がわからなくて、アーベルは首をかしげる。ぱん、と手を叩きヘンリッカは立ち上がった。

「わかりました。お引き受けします——かわいそうに、こんな姿になっちゃって」

 ため息まじりに吐き出された言葉に、アーベルは返す言葉を持たなかった。

「ただ、フィリーネ様と離れて修復する時間は必要です。それは、アーベル様、どうにかしてくださいます? もともと、フィリーネ様を気に入って連れ歩いている設定なんだから、そのくらい上手にやってくれますよね?」
「そ、それは——もちろん」

 ヘンリッカの言葉にアーベルはすかさず同意する。
 フィリーネを泣かせるつもりなんてなかった。その分、今度はちゃんと接してやるつもりだ。

「もし、殿下の手に負えないようなら俺がフィリーネを連れ出しますよ。あいつにだって、気晴らしは必要だ」

 扉のところに持たれるようにして立っていたパウルスが、アーベルをにらみつけるようにして言った。

「その必要はない。俺がちゃんと対応する」
「それならいいんですけどね。フィリーネを泣かせるような真似をしたら——俺が許しません。昨日もあいつ、ものすごく泣いてたんですから」
「それは!」
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