独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
 ヘンリッカとパウルスに見送られて、フィリーネは招待を受けたサンルームへと向かった。
 そこは、王宮の奥の方にあった。そこにいたるまでには三つの門をくぐらなければいけなくて、その門はいつもは施錠されているのだそうだ。
 今日は、フィリーネを通すために、その門の鍵も解放されていて、側には案内役と思われる使用人が待ち構えていた。
 サンルームは、緑の芝生の中央に建てられていた。建物のほぼすべてを大きなガラスが占めていて、日の光が贅沢に差し込む建物だ。

「——すごい」

 大半を占めるガラスを、真っ白に塗られた木が支えている。扉の金具などは金色に輝いていて、時折きらりときらめいた。

 アーベルは、そのすぐ側に立って、フィリーネがやってくるのを待っていた。

 今日の彼は、紺の上着に白いズボン。それから濃茶色のブーツという格好だ。昨日の今日だからか、やけに素敵に見えて、フィリーネは目のやり場に正直なところ困ってしまった。

(いえ……こんなこと、してる場合じゃないもの)

 芝生の上に踏み出し、ゆっくりと彼の方に近づいていく。ヘンリッカが選んでくれたドレスで大丈夫なのかと不意に気になった。

「こんなところまで呼び出して悪かったな」
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