独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「——じゃあ、僕は外で引継ぎを。おじさん、城にある在庫の数、確認させてもらっていい? 一度に全部クラインさんのとこに納品するわけにもいかないし。なんとかもう少し生産量を増やせればいいんだけどねえ」
「王様が、あまり目を酷使するなって言ってるからな。欲張ってもしかたないだろうよ。今、できる精一杯のことをするだけさ」
パウルスと御者が、御者台のところで話を始める。フィリーネは荷馬車に乗り込み、折りたたまれたレースが入っている箱の蓋を開いた。
レースを汚してしまわないよう、手袋をはめてから一枚一枚さらっと確認する。
(……どの商品も、皆、気合を入れて作ってくれているわね)
祖父の代からの悲願であることを皆知っているから、誰一人手を抜くなんてことしていない。
これなら、クラインのところに持って行ってもう一度品質確認を行っても問題なさそうだ。
「最近、工房の近くをちょろちょろしてる怪しいやつもいるしなあ……王様も、何かあるんじゃないかって心配しているよ」
御者が心配そうな声で言うのが、馬車の外から聞こえてきた。
「王様が、あまり目を酷使するなって言ってるからな。欲張ってもしかたないだろうよ。今、できる精一杯のことをするだけさ」
パウルスと御者が、御者台のところで話を始める。フィリーネは荷馬車に乗り込み、折りたたまれたレースが入っている箱の蓋を開いた。
レースを汚してしまわないよう、手袋をはめてから一枚一枚さらっと確認する。
(……どの商品も、皆、気合を入れて作ってくれているわね)
祖父の代からの悲願であることを皆知っているから、誰一人手を抜くなんてことしていない。
これなら、クラインのところに持って行ってもう一度品質確認を行っても問題なさそうだ。
「最近、工房の近くをちょろちょろしてる怪しいやつもいるしなあ……王様も、何かあるんじゃないかって心配しているよ」
御者が心配そうな声で言うのが、馬車の外から聞こえてきた。