独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
小さい頃から、山を駆け巡ってきたのだから、体力には自信がある。フィリーネは、ぐんぐん男達を引き離した。
だが、走りやすい靴とはいえず、体力より先に足が限界になってしまった。よろよろしているところに、男達が追い付いてきた。
「まったく——余計なことをするもんじゃない」
「やだ、放して! 放してってば!」
ばたばたと暴れ回るが、引きずられてしまう。だが、その時、遠くから馬がこちらに向けて走ってくる音が響いてきた。
男達がはっとしたように、動きを止める。その隙をフィリーネは見逃さなかった。こちらに向かってくるのが誰でもいい。とにかく助けを求めなければ。
「助けて——、助けて! 殺される!」
フィリーネが叫ぶと、ぎょっとしたように男達が顔を見合わせる。
「今、行くぞ!」
その声が、アーベルのものであることをフィリーネは確信した。どうして、彼がここにいるのかなんて考えている場合ではない。
こちらに向けてかけてきた一団の中には、パウルスもいた。その他に、何人か——たぶん、王宮の騎士なのだろう。着ている服は、街中を歩いている人達と同じものだけど。
だが、走りやすい靴とはいえず、体力より先に足が限界になってしまった。よろよろしているところに、男達が追い付いてきた。
「まったく——余計なことをするもんじゃない」
「やだ、放して! 放してってば!」
ばたばたと暴れ回るが、引きずられてしまう。だが、その時、遠くから馬がこちらに向けて走ってくる音が響いてきた。
男達がはっとしたように、動きを止める。その隙をフィリーネは見逃さなかった。こちらに向かってくるのが誰でもいい。とにかく助けを求めなければ。
「助けて——、助けて! 殺される!」
フィリーネが叫ぶと、ぎょっとしたように男達が顔を見合わせる。
「今、行くぞ!」
その声が、アーベルのものであることをフィリーネは確信した。どうして、彼がここにいるのかなんて考えている場合ではない。
こちらに向けてかけてきた一団の中には、パウルスもいた。その他に、何人か——たぶん、王宮の騎士なのだろう。着ている服は、街中を歩いている人達と同じものだけど。