独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「……あの、何か誤解してません?」
「だって、あいつ、大事なフィリーネを泣かせるなって言ってたぞ」
ライラにショールを破られて号泣した後、パウルスがアーベルにそう釘を刺したらしい。だからって、そこでそんな誤解をするなんて一体どうなっているのだろう。
「泣かせるなっていう発言についてはどうかと思いますけど、パウルスはヘンリッカと婚約してますよ?」
「ヘンリッカってお前の侍女か?」
「そうです。だから、今回パウルスについてきてもらったんです。私の侍女役は、ヘンリッカにしか務まらないから。三か月も引き離すのは申し訳ないし、こっちの国に一緒に来たら、二人で街に遊びに行く時間も取れるでしょう?」
「あー……」
アーベルが気まずそうな表情になって、手綱を持っていない方の手を頭に手をやった。そのままぐしゃぐしゃと頭をかき回す。
「大事なっていうのが上についたのはいいことですよね! いとこ同士、仲良くしなくっちゃ」
「あ、そうか……そういや、いとこだったな……」
馬上でアーベルがうなる。フィリーネはきょとんとして、彼の顔を見上げてしまった。いったい、何があったというのだろう。
「だって、あいつ、大事なフィリーネを泣かせるなって言ってたぞ」
ライラにショールを破られて号泣した後、パウルスがアーベルにそう釘を刺したらしい。だからって、そこでそんな誤解をするなんて一体どうなっているのだろう。
「泣かせるなっていう発言についてはどうかと思いますけど、パウルスはヘンリッカと婚約してますよ?」
「ヘンリッカってお前の侍女か?」
「そうです。だから、今回パウルスについてきてもらったんです。私の侍女役は、ヘンリッカにしか務まらないから。三か月も引き離すのは申し訳ないし、こっちの国に一緒に来たら、二人で街に遊びに行く時間も取れるでしょう?」
「あー……」
アーベルが気まずそうな表情になって、手綱を持っていない方の手を頭に手をやった。そのままぐしゃぐしゃと頭をかき回す。
「大事なっていうのが上についたのはいいことですよね! いとこ同士、仲良くしなくっちゃ」
「あ、そうか……そういや、いとこだったな……」
馬上でアーベルがうなる。フィリーネはきょとんとして、彼の顔を見上げてしまった。いったい、何があったというのだろう。