独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「本当に、それでいいのか? フィリーネ姫。我が国もこのような事態を招いたことを非常に申し訳なく思う」

「いえ。私が少し怖い思いをしただけですし、誰も怪我はしていませんから……ライラ様が、二度と同じ過ちは繰り返さないというのであれば、私としてはそれでかまいません」

 今後、フィリーネはユリスタロ王国の女王として立つことになる。その時のことを考えると、デルガド王国との間で必要以上に事を荒立てたくないという思惑もあった。

 デルガド王国が、きちんとライラを罰してくれるというのならばこれ以上言うことはない。
 改めてユリスタロ王国に詫びを入れる使者を出すと言い、デルガド王国側の使者が何度も頭を下げて、ライラを連れていく。

「ご希望の方がいるなら、工房を見学していただいてもかまいませんけれど……?」

 皆に向けられたフィリーネのその提案に、アーベルがうなずき、その場を去ろうとしていたライラとデルガド王国の使者は立ち止まり頭を下げ、一同ユリスタロ王国に向かうことが決められたのだった。
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