独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「本当、あっちでは大変でしたからねぇ。フィリーネ様も、早くこっちに戻りたいでしょう」
「え、ええ……ええ、まあ、そうね」
ヘンリッカの何気ない言葉に、思っていた以上に動揺したのをフィリーネは自覚した。最初から終わりが見えていると言い聞かせていたのに、今さら、こんなことくらいで動揺するなんて。
ちらりと隣に座っているアーベルの顔を見上げる。彼が、何を考えているのか、その表情からは読み取ることはできなかった。
アーベルを連れ、王宮へと入る。あらかじめ話は通してあったから、父である国王や大臣達がずらりと並んで出迎えてくれた。
ライラとその使者達は、アーベル達よりもひと足先にユリスタロ王国を訪れ、フィリーネの両親に謝罪をすませていた。アーベルとフィリーネがライラ一行に気づくと、彼らは深く頭を下げた。
「ただいま、戻りました——お父様、お母様」
両親の顔を見たら、このまま気が緩んで泣きだしてしまいそうだ。だから、懸命に笑顔を作る。
「お帰り、フィリーネ」
「しばらく見ない間にずいぶん大人になったみたいね」
「そ、そうかしら……」
「え、ええ……ええ、まあ、そうね」
ヘンリッカの何気ない言葉に、思っていた以上に動揺したのをフィリーネは自覚した。最初から終わりが見えていると言い聞かせていたのに、今さら、こんなことくらいで動揺するなんて。
ちらりと隣に座っているアーベルの顔を見上げる。彼が、何を考えているのか、その表情からは読み取ることはできなかった。
アーベルを連れ、王宮へと入る。あらかじめ話は通してあったから、父である国王や大臣達がずらりと並んで出迎えてくれた。
ライラとその使者達は、アーベル達よりもひと足先にユリスタロ王国を訪れ、フィリーネの両親に謝罪をすませていた。アーベルとフィリーネがライラ一行に気づくと、彼らは深く頭を下げた。
「ただいま、戻りました——お父様、お母様」
両親の顔を見たら、このまま気が緩んで泣きだしてしまいそうだ。だから、懸命に笑顔を作る。
「お帰り、フィリーネ」
「しばらく見ない間にずいぶん大人になったみたいね」
「そ、そうかしら……」