独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
 残念ながら、園遊会の場には、適切な虫よけになってくれそうな女性はいなかった。

(こうもまとわりつかれていては、考えをまとめることもできないじゃないか)

 令嬢達と一緒にこの国に入った貴族や高官達と会話をする機会もこれから増えてくるはずだ。
 それなのに、次から次へと話しかけられていては、考えをまとめる時間も取れない。令嬢達と会話をするのはかまわないが、だれといつどんな話をすべきか整理する時間がほしいし、他国の有力者達と会談するための時間もほしい。
 結婚願望のない息子を案じている両親には悪いが、こんな機会を作ったことを恨みたくもなる。アーベル個人の好みで決めるより、国のために一番利益をもたらしてくれる相手と縁組をすればいいだけの話なのに。

(……誰か、俺とは適切な距離を保ちつつ他の令嬢をけん制してくれる女性がいれば都合がいいんだが——)

 それが、とても傲慢な考えであることをこの時のアーベルはまだ気づいていなかった。
 
 
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