独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
秘密の契約、結びました
 アルドノア王国に入って一週間後、フィリーネは一人、裁縫室にいた。

 今日は、他の令嬢達はアーベルと出かけているはずだ。たしか、ピクニックだったか乗馬だったか——それとも、庭園でのお茶会だったかもしれない。
 女性達がいつどこに集まるのかについては調べているけれど、今日はドレスの仕立て直しに使うつもりだったので、さっぱり忘れてしまった。

 いずれにしても、フィリーネが人目につかないようここに来るには、いいタイミングだといえる。
 あれからあちこち回り、最新流行のドレスについての調査を終え、ユリスタロ王国から持参したレースを使って、古いドレスを最新流行のデザインに合わせて仕立て直しているところだ。
 今、フィリーネが一人でここにいるのには事情がある。ヘンリッカは裁縫が得意だし、裁縫はできないパウルスも、できることは手伝うと言ってくれた。

「刺繍糸が足りなくなりそうだから、パウルスとヘンリッカで買い物に行ってきてくれない?」

 二人の気持ちはありがたいけれど、そう理由をつけて二人を出かけさせたのはフィリーネだった。
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