独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
(——変なやつ)

 フィリーネを表現するには、それが一番近い言葉なのかもしれなかった。
 だけど——とさらに考える。
 フィリーネの側にいるのは気を使わなくて楽でいい。

 愛とか、恋とか。そんなくだらない感情ではなくて——同志というか同じ方向を向いて進むことのできる相手。
 フィリーネは一人娘だから、いずれユリスタロ王国の女王となる。

 隣国の女王が同じ方向を向いて進むことのできる相手であれば、手を取り合って互いの国をもっと発展させることもできるかもしれない。フィリーネが即位したその時には、『友人』としてできる限りの手助けはしてもいい。

 そんな風にも思った。
 
 
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