"鬼"上司と仮想現実の恋
「で、どんな愚痴?」

「"鬼"上司のノルマ、キツすぎ!って愚痴です。」

「へぇ〜。
それは大変だね。」

悠貴さんは他人事のようににこにこしている。

「あと300万、ノルマ下げてくださいよ。
無理です〜
何で、私と田原さんのノルマが一緒
なんですか?」

「くくっ
ここで目標下げなかったら、瀬名は
何としてもあと1本契約とる気だろ?
無理って言いながら、最後まで粘るだろ。
だから、少し高めの目標の方が力を発揮
できていいんだよ。
大体、瀬名より田中の方が目標、高いんだぞ。
田中より楽なんだから、がんばれ。」

「売上トップの営業と新人を並べて
比べないでくださいよ。」

すると、悠貴さんは突然私の頬を両手で包んだ。

「大丈夫。
俺の暁里は、こんな事で潰れない。
まだまだ、できる。
だろ?」

「………うん。」

悠貴さんはズルい。
こんな事されたら、できないなんて言えないじゃない。
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