艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
フレンチレストランは、祖母の希望だった。祖母は高齢だけれど、フレンチやイタリアンなど洋食に特に抵抗はなく、どちらかというと私の父の方が何かと好みがうるさい。
多分父はぶつくさ文句を言いそうだが、今日は祖母のお祝いなのだからそこはスルーしてしまおう。
「遅れてごめんねー」
ギャルソンに案内されて、リザーブしてあった窓側のテーブルに着くと既に家族は揃って着席していた。
祖母の隣の椅子をギャルソンが引いて、私はそこに腰を下ろす。向いに両親と兄が並ぶ。
「遅いぞ」と開口一番文句を言ってきたのは父だった。やっぱり機嫌が悪い。母は苦笑いでそれを窘め、兄は肩を竦めていた。
「ごめんってば」
「仕方ないわよ、仕事なんだから。藍ちゃんもすっかり社会人ねえ……私も年を取るはずだわぁ」
祖母がにこにこと笑いながらそう言ったけれど。
「おばあちゃん。私もう、社会人三年目だからね」