艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「はい。貯金があるのでなんとか」
本当のことを言うと、家賃補助もなくなるのでちょっときついが。
光熱費諸々を計算すると、食費を節約すればなんとか半年はもつだろう。
コテで切り分けたお好み焼きを一切れ取り皿に移した。
割りばしでひとくちサイズにして口に運ぶ。
ふと、視線を感じて前を見れば、葛城さんがじっと私を見ていた。
「はふ……熱い。なんですか?」
「いや。この一か月、何度も会ってわかってきたけど、君は本当にしっかりしてるというか」
焼き立てのお好み焼きが熱くて口の中で格闘していると、彼がグラスの水を私の近くに置いてくれた。
ありがたくひとくちいただく。
「隙がないというか」
褒められているのだろうか、よくわからない。
首を傾げていると、彼が「あ、モチチーズうまい」といったので、そのまま話は逸れてしまった。