艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
お重を保冷バッグに入れて、お菓子の瓶のスペースを確保するため少し端に寄せる。


透明な瓶を持ち上げ、キッチンの灯りに透かした。


「乾燥、甘かったかなあ」


瓶の中には、半透明の赤と青に着色された琥珀糖が詰められている。


着色した砂糖水に粉寒天を溶かして固め、ひとくちサイズにちぎって更に乾燥させた、宝石みたいな砂糖菓子だ。
何日か前から今日の為に作っておいたのだ。


これなら見た目も綺麗だし、外でも食べやすい。
それに、ちらりと思ったことがあった。


葛城さんは、もしかしたら甘いものがあまり好きじゃないのかもしれない。
和食のお店で、私や祖母と同じコース料理を食べていたのに、葛城さんの分だけデザートが省かれていたことを思い出したのだ。


パーティーで、周りに見せつけるように私にデザートを食べさせていたとき、彼も少しは口に運んでいたけど。
あまり率先した感じではなかった。


琥珀糖なら日保ちもするし、もし彼が食べないなら持って帰ればいい。


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