艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~



「……先にハウスクリーニングを呼んでからね。今日はほんとに急だったからで」

「普段、そんなに忙しいんですか?」

「それもあるけど。寝に帰るか仕事してるかだからあまり家の中のことに気を配ったこともないし」

「豪華なマンションなのにもったいない……」


私は、テーブル上の使用済みのカップを片付けに向かう。途中、お仕事中のお掃除ロボに遭遇し私の横を通り過ぎていくのを待ってから、キッチンに入った。


良かった、流し台はそれほど汚くない。というか、カップやグラスしか見当たらないから家で食事はしないのかもしれない。


数分前、『覚悟はいい?』と聞かれ、ドキドキしながらドアを開け中に入り、その散らかりように一瞬で緊張感は消し飛んだ。

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