艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

……どう答えれば。


笑ったまま絶句してしまった私を見て、彼はふっと微笑みを深くする。
言葉遣いも丁寧で、立ち姿も上品で笑顔も柔らかい。悪い人には見えないけれど、何か一癖ありそうだ。


「……怒っている、というか。何かございましたか? 父は職人気質で、少し固いところがありますので。ご気分を害されましたら申し訳ございません」


無難に、穏便に返す他あるまい、と小さく頭を下げようとする。
だけど、彼が一歩近づき、私の腕に手を添えそれを制した。


「お父上は悪くありません。ご家族思いの良い方ですね」

「そうでしょうか?」


どうやら、父に対して彼の方は悪印象ではないらしい。
ほっとしたが、ではなぜ、彼が一方的に嫌われているのだろう。その疑問が顔に出ていたのか、またあっさりと、彼が言った。


「私が、縁談を申し込ませていただいたのです。他に方法がなかったものですから、少々強引に」

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