艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「たまたまこちらで商談がありまして。そうしたら藍ちゃんをお見掛けしたので声をかけただけですよ。ね?」


私に問いかけたような語尾が聞こえたので、振り向こうとしたけれど葛城さんの手がまだ私の頬にあって、中途半端にしかできなかった。


まるで、余所見をするなと……自分だけを信じていればいいのだと、狭い世界に閉じ込められたような感覚になる。


葛城さんの視線が私にまた移される。『本当に?』と伺うような視線に頷くと、彼はふっと溜息を落とした。


「そうでしたか。では、まだパーティの途中ですのでこれで失礼します」


ぐい、と肩を抱かれて身体を会場の方へと向けられる。
戻るまでに、彼の横顔をじっと見上げた。


「……何か言われた?」


私の視線に気づいて彼が尋ねる。
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