艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
間近に見て指で撫で、そこが葛城さんに強く口付けられた場所だと気付いたとき、また身体が熱く火照った。
「もー……やだ」
手で押さえながらよろよろとベッドに戻り、コロンと横になる。
こんなキスマークひとつが嬉しいなんて、どうかしている。
ころころ変わる感情に振り回されて、どっと疲れを感じた。
「……ああ、それに結局、何にも聞けてない」
そう気がつくと、ただはぐらかされただけのような気がしてまた落ち込んでくる。
ころん、とあの日てのひらで転がった琥珀糖にでもなった気分だ。
ほう、とため息をひとつ溢す。
好きです、って言っていいのかな。
言ったらきっと、『俺も好きだよ』と返ってくるだろう。
筒がなく、夫婦となるために。
だけどそんな気持ちのない言葉が欲しいわけではないのだ。
「……もっと、普通の出会い方ができれば良かった」
そうしたら、こんな悩みはなかっただろう。
考えながらいつのまにか眠ってしまい、その翌朝だった。
父から、『今すぐ帰れ』と連絡があったのは。
「もー……やだ」
手で押さえながらよろよろとベッドに戻り、コロンと横になる。
こんなキスマークひとつが嬉しいなんて、どうかしている。
ころころ変わる感情に振り回されて、どっと疲れを感じた。
「……ああ、それに結局、何にも聞けてない」
そう気がつくと、ただはぐらかされただけのような気がしてまた落ち込んでくる。
ころん、とあの日てのひらで転がった琥珀糖にでもなった気分だ。
ほう、とため息をひとつ溢す。
好きです、って言っていいのかな。
言ったらきっと、『俺も好きだよ』と返ってくるだろう。
筒がなく、夫婦となるために。
だけどそんな気持ちのない言葉が欲しいわけではないのだ。
「……もっと、普通の出会い方ができれば良かった」
そうしたら、こんな悩みはなかっただろう。
考えながらいつのまにか眠ってしまい、その翌朝だった。
父から、『今すぐ帰れ』と連絡があったのは。