艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
私に、女としてそれほど魅力を感じないから?
色気がないとか?
反応が変だった?


「……だって、初めてだし。わからないし……」


目尻から零れそうなほど、じわりと涙の膜が張る。
ああ、でも理性がって、言ってた。
本当かな? でも、確かにキスしてるとき、彼の目もまた、熱かった。


彼の言葉を思い出し、今度はまた恥ずかしくなるほど照れてしまう。


でも、じゃあなぜ?
結婚するまでは、ってことだろうか。


涙が出るほど悲しくなったり、こそばゆくなるほどに恥ずかしくなったり嬉しかったり。
彼の言動ひとつに、振り回されてしまっている。


ブラウスのボタンを閉めながら、また目が鏡に向いた。
ふと、首筋に赤いものを見つけて、ドレッサーに近づいていく。
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