艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

今朝起きたら、ワイドショーで柳楽堂の記者会見がやっていた。
急に父が私を呼び出したのは、それを見たからじゃないかと期待している。


怒られるのは覚悟の上だ。
だけど、父もあれを見て、葛城さんの買収がどれだけ私たちにとってタイミングが良かったか気付いたはずだ。


そこが、父の許しを得るための突破口だと考えている。


最初は確かに、家族からの疎外感や葛城さんへの興味から彼の提案に乗った。
だけど今は、それだけじゃない。


どんな形でもいい、葛城さんと繋がっていられることが、私には大事なことだった。


そしてやっぱり信じている。
彼は花月庵を守ろうとしてくれていると。


父の待つ仏間の襖の前で一度膝をついて正座し、大きく深呼吸する。


「藍です」


声を掛けてから襖を開け目が合った、第一声。


「この、バカが」


カーン
とゴングが鳴った。
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