艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
たとえそれが、私が願うようなものじゃなくても。
私たちは、まだ出会って間もないのだからそれでもいいのだ。


私が、彼を好き。
そこからスタート出来ればいい。


そう思えたら、すっと気持ちが楽になる。


「葛城さんのことも、もっと……」


知りたい、教えて欲しい。そう言おうと横を向いたら、彼が運転席からこちらに向かって上半身を乗り出してきたところだった。


目の前が彼でいっぱいになる。優しく重なった唇は一秒ほどで離れたけれど、思わずその唇を追いたくなるほど後を引く。


「まだ、仕事が残ってるけど、今夜はなるべく早く帰る」

「……うん」

「だから今日も、部屋で待ってて欲しい」


頷くと、再び重なった唇は後ろからのクラクションに追い立てられてやっぱりすぐに離れてしまった。


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