艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「シャワー、先に浴びる?」


甘く濡れた声に、ぼんやりと頷いたものの。


大変だったのはそこからだった。
和菓子を食べたお皿や湯呑みが気になったけれど、葛城さんが片付けるからと浴室に送り出され。


この後のことは、さすがに私にだってわかる。
この季節に、シャワーも浴びずに彼に触れられるなんて、絶対無理だ。


くらくら目眩を感じながらがしがしと身体を洗い、頭も洗い。
浴室を出て、どうしていいのかわからなくなった。


こういう時、パジャマは着るの?
下着はどうするの?
どうしよう、そんな色っぽい下着は持ってない。


髪は乾かしていいよね?
でもあんまり待たせ過ぎたらだめ?


混乱しすぎてわからなくなって、泣きたくなってきて。
こんな時こそ友達のグループラインで相談しなくちゃと思ったのに、スマホはリビングに置いてきてしまった。
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