艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
落ち着いて考えてみれば、裸でタオル一枚巻いてなんて姿で出ていく勇気はない。
かといってお洒落なパジャマや下着もないし、結局、いつもどおりのパジャマと下着しかないのだ。


髪は乾かさずに急いで脱衣場を出た私は、入れ違いに浴室を使う葛城さんにドライヤーを手渡された。


「風邪引くよ。ちゃんと乾かして待ってて」

「……はい」

「どこで待てばいいかわかってる?」


そうわざわざ囁かれ、慌てて頷いたものの、頭の中に昨夜脅されたセリフが思い出される。


『今度俺の寝室に入ったら、止めないよ』


リフレインしたと同時に耳元にキスをされ、今まさにそのセリフを言われたような感覚に陥った。

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