艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
蜜月と、小さな疑惑
*****


直に肌が触れ合うことを知ってしまったら、もう離れられない気がする。
彼の腕を枕にして、事の余韻から身体はなかなか、抜け出せないでいた。


彼の手が、汗に濡れた私の髪を、ゆっくりと指で梳く。
たったそれだけのことが、ひどく幸せだった。


愛や恋で身を崩していく女性の気持ちが、今ならわかる気がした。
何にも代えがたいひとときに違いなかった。


「……そうだ、明日」


彼が、ふと思い出したように声に出す。


「休みが取れた、二日」

「え……本当?」


彼はずっと忙しそうで、連休なんて初めてのことじゃないだろうか。

< 259 / 417 >

この作品をシェア

pagetop