艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

確かに、この件で話をしようとした時、今までで一番っていうくらい意地悪に迫られて、戸惑ったし驚いた。あとからはぐらかされたのだと気づいたけれど。


このことを私に知られたくなかったから?
じわ、と目頭が熱くなり涙の気配が隠せなくなる。そんな私を見て、柳川さんは声を和らげた。


「可哀想にね。だから言ったろ、信用し過ぎたらダメだって」


私の肩を抱いたままの手が、優しく撫でる。
だけど、柳川さんの言葉に沈みかけてた私の心が僅かに反応した。


可哀想……可哀想?
本当に?


疑念に囚われて、私は本当に大事なことを忘れようとしてないだろうか。


「藍ちゃん?」

「か、葛城さんが、私に何かを隠してるのはもう、わかります。私だってそれくらい、わかる」


だけど、柳川さんに可哀想だと言われたときに、そんなことはないと思った。

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