艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「大丈夫。わかってるよ」
頷きながら、そう言ってくれる。
申し訳なさに、涙が浮かぶ。
この状況は私のせいだ、ちゃんと柳川さんに接触されたことを話していれば。私が危険に気づいてなくても、彼が気を付ける様にと注意を促してくれただろうし、きっと何か対策を考えてくれた。
後悔し唇を噛む。もう、これ以上、葛城さんを困らせたくないと、再びチャンスを探して息を整える。
「柳川さん、御手洗を連れて来いと言われましたが、今すぐには無理です」
「どうして? ここの秘書室に匿われていることは知ってる、調べさせたんだ」
「知人の会社に預けたんですよ。同級生ってだけで変に勘繰る連中がいるものですから、あなたみたいに」
「嘘つけ!」
柳川さんが、激しく声を荒げた。私の身体を掴む手は余計に強くなったけど、全神経が葛城さんに向かっている今ならいけると思った。